1950年代、Mauser-Werke「S 23 R」カンチレバーチェアです。オリジナル状態のまま資料として保管していたため、当方は一度も腰掛けたことがありません。籐張りは強度劣化の可能性が高いため実用には張替えが必要とお考えください。
一般的に籐の手編みは7工程(縦・横・縦・横・斜・斜・外枠)の手順によって行われます。こちらの椅子の背面の籐編みは、外枠(バインダーケインと呼ばれます)の工程に簡略化された方法が採用されています。このようなディテールは、張替え時に指定しない限り座面と同じ仕様に変更されてしまうことが多いため少し注意が必要です。
独スチールファニチャー大手Mauser社はカンチレバーチェアの著作権侵害をめぐって競合メーカーThonet社と1961年まで数十年に渡り法的紛争を行ったことが知られています。
Mauser社は、カンチレバーチェアを製造する権利はマルト・スタム(1926年考案)ではなくシュトゥットガルトの鍵職人ベルハルト・シュトゥットゲン(1923年考案)にあると主張しました。ケルン応用芸術学校での学校作品展示会(1923年末-1924年初)のためにシュトゥットゲンが制作したカンチレバーチェアは、1937年になってようやくその存在がMauser社によって発掘され、デザイン史に残ることになったという経緯があります。
【仕様】 ・フレーム部:鋼管製(めっき仕上げ) ・座面,背面:ブナ材塗装仕上げ, 籐張り ・寸法:W550 x D595 x H865(SH450) 肘掛H675mm ・重量:約6.4 kg ・製造元:Mauser-Werke
状態 ……………………………………………………………
古い品を扱っております。
掲載画像をあわせてご確認ください。
掲載画像: 全26 枚
・現状、腰掛けた瞬間に座面が抜ける可能性も否定できません。実用には籐の張替えが必要とお考えください。
・スチールパイプのめっき仕上げにサビ、擦れ、小傷など見られます。
・ブナ材フレームは小傷や塗装の経年劣化よって適度にエイジングされた状態にあります。
・藤張り以外の構造的な問題は特にありません。
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